「高反発マットレス」の原価

初めに

色んな原価を調べるのが好きです。価格の根拠は知り合いの工場や中国人の友達やメーカーに直問合せしたり。。それで自分の仕事に繋がったりする場合もありますが、大抵は調べて満足して終わり。それ、サイトにまとめてみては?と言われて第一弾として最近購入した「高反発マットレス」について色々調べてみました。本来の価格よりも高く見積もってますが、材料なんかは時期によって変わし人件費も国によって変わるので上振れした場合このくらいじゃないか?という予測で書いています。

僕が作るならこんな「高反発マットレス」

今回想定する「高反発マットレス」の仕様は以下となります。

【高反発マットレスの仕様】
・シングル(横幅100×縦幅200×厚み10cm)
・収納しやすいように三つ折りできる形状にする
・そのウレタンを包む生地(側生地)はファスナー付きでウレタンが取り出せる
・パッケージはロール状に丸めてビニールで包装する

まあ、今よくある感じの仕様となっています。

「高反発マットレス」の商品化に必要な材料

高密度ウレタンですが、密度と設定する厚みによって価格に幅があります。市場の動向を見てみると密度30kg/m3くらい(30Dってやつです。)が主流のようなのでここでも同じく密度30Dのウレタンを想定し、厚みは10cmということで設計を進めていきます。またよく言われるニュートン数ですが、金額には些細な影響しか及ぼさないのでここでは設定をしません。更にそのウレタンを包む生地(側生地と呼びます)も素材や目付(単位面積あたりの生地の重さ)によって価格は様々ですので、伸縮性のあるポリエステルの目付け200g/㎡を想定します。生地の丈夫さと透けないという点ではこのくらいが妥当でしょう。生地幅1.4mの生地があったとしてシングル1枚に必要な用尺は3mもあれば足りるでしょうか。

【材料】
・高密度ウレタン
・側生地
・ファスナー
・ロール用ビニール

側地ともに中国で生産したものを輸入するものとします。なんでかっていうと知り合いがいる関係で調べるのに手っ取り早いから。ウレタンなんて原料はどこも欧州系ですし、発泡の技術さえしっかりしてれば品質安定も容易です。

シングル(100×200×10cm)の原価はというと
・密度30D 高密度ウレタン1枚 250元(1元¥16換算で¥4,000¥)
・目付け200g/㎡のポリエステル生地3m 68元(1元¥16換算で¥1,088)
・ファスナー3m 20元(1元¥16換算で¥320)
・ロール用ビニール1枚 10元(1元¥16換算で¥160)
合計 ¥5,568

ウレタンの密度は1立方メートルあたりの重量を指しますが、これが純粋な発泡ウレタンの材料だけで賄っていれば良いのですが密度偽装の為、混ぜ物をしたりするケースが増えています。その場合、原価自体はかなり下げられますが耐久力に難があることは明白。せっかくマットレスとして商品化してもクレームだらけだと仕方がないので、ここはちゃんとしたものを使用します。

「高反発マットレス」の商品化に必要な工賃

原材料がでましたので次に工賃の試算をしてみます。「高反発マットレス」を作る際の工賃というと
・生地の縫製 4元(1元¥16換算で¥64)
・付属品の縫製(ファスナーなど)2元(1元¥16換算で¥32)
・パッケージにかかるコスト 4元(1元¥16換算で¥64)
合計 ¥160

中国沿岸部での人件費は高騰してるので、中国内陸部の農村地域の工場であればもっと安くできるかもしれません。

さて、ここまでにかかった金額はマットレス1枚につき¥5,728

「高反発マットレス」を輸入しよう

ここまでは単に中国内で1枚の「高反発マットレス」が出来上がったにすぎません。これから日本に輸入する必要があるので、この費用も計算してみましょう。前提として中国沿岸近くのぎりぎり内陸部で製造したものを陸送で上海まで。上海から東京まで40フィートハイキューブコンテナで海上輸送を条件とします。

【条件のまとめ】
・コンテナサイズ 40フィートハイキューブ
・ロール状「高反発マットレス」のサイズ 100×40×40cm
・コンテナ1台あたりのマットレスの積載量 500枚
・関税 1.038% 参考
・消費税 1.08%

・ 【輸送費&通関&ドレージ】
・工場から上海港までの陸送運賃 ¥100/枚
・上海港から東京港までの海上運賃 ¥600/枚(上海→東京 約¥300,000)
・関税 ¥244/枚(¥5,728+¥100+¥600)*0.038
・消費税 ¥533/枚(¥5,728+¥100+¥600+¥244)*0.08

これで日本にようやく「高反発マットレス」が到着しました。
合計金額はマットレス1枚につき¥7,205となりました。

「高反発マットレス」を保管・配送しよう

次はこの「高反発マットレス」を倉庫に保管し、更に注文が入った場合はユーザーまで配送しなければなりません。倉庫代や送料はまちまちなので、参考としてAmazonFBAを利用した場合の費用を原価に上乗せすることにします。

【AmazonFBA利用した場合】
・1ヵ月あたりの保管料 ¥1,353/枚
・1枚あたりの配送料 ¥1,258/枚

これでユーザーまでお届けした場合の合計金額は¥9,816となります。ただし、保管料は1ヵ月丸々預けた場合なので、例えば半月で出荷すれば半額、2ヵ月保管した場合は2倍です。このあたりはどれくらいの間隔で輸入すればいいかの重要な目安になってくるので要注意です。

「高反発マットレス」で儲けよう

あとは自分が「高反発マットレス」1枚売った時にいくら粗利が欲しいのかを乗っけるだけですが、商品を認知させるための広告費、Amazonを利用した場合のAmazonへ支払うマージン(売価の15%)、事務処理を行うスタッフの給料等があるので、慎重に考える必要があります。通常輸入商品を販売する場合、仕入れ額の3倍の売価をつける場合が多いです。但し、【輸送費&通関&ドレージ】や【AmazonFBA利用した場合】の金額を除いた仕入れ額の3倍なので、僕の場合は¥9,816×2倍の売価で販売すると想定します。

出来上がった「高反発マットレス」の売価
¥9,816*2=¥19,632となりますが、面倒なのでマットレス1枚につき¥20,000(税込み)とします。

【販促にかけるコスト】
・広告費 ¥2,000(売価の10%/枚)
・事務費 ¥1,000(売価の5%/枚)
・Amazonマージン ¥3,000(売価の15%/枚)

つまりマットレス1枚売るごとに僕は
¥20,000-¥2,000-¥1,000-¥3,000-¥9,816=¥4,184が残る計算になります。

この結果を受けて、売価をもっと上げようとか、安売り時は2,000円引きが限界だなとか、事務費を削減して広告にもっと力を入れようとかそんな感じの取り決めができると思います。

「高反発マットレス」を作ってみたまとめ

大雑把な試算をしてみましたが、僕の計算は2017年4月時点での為替や材料費を念頭に置いたものとなっています。時期によってはもっと安く作れたり、高くなったりすると思いますが(例えば一時期1元¥20もありました)、平均的なものを作る場合のおおよその目安にはなると思います。あと、細かい副資材は省いてあります。実際は輸送時に使うダンボールや印刷物のコストも原価に反映してきます。

市場の「高反発マットレス」を試算

これまでもだいぶマニアックで趣味的でしたが、ここからも完全に趣味で市場の「高反発マットレス」がなぜこの売価設定なのかを推理していきます。

SLEEple 高反発マットレスEX8 シングル

サイズ:約幅97×長さ195×厚さ8cm
重量:3.8kg
側地:ポリエステル100%
製造国:中国
売価:¥6,980(税込)

Sleepleの芯材は密度の表記がないので、サイズと重量から割り出します。
側地の重量が0.8kgだとしてウレタン自体は3kgと推定します。

密度計算式
3kg÷(0.97*1.95*0.08m)=19.8D

1.ウレタン 密度20D 厚み8cm ¥1,260/枚
2.側地 ¥500/枚
3.ファスナー ¥320/枚
4.包装ビニール、箱 ¥200/枚
5.工賃 ¥160/枚
6.輸送費、関税など ¥500/枚
7.国内輸送、保管料など ¥1,000/枚

※梱包サイズが小さいので6と7の価格が下がってます。

合計 ¥4,440(税込)
原価率 ¥4,440÷¥6,980=64%

ウレタンの密度が20Dと低いのでヘタりやすいと思われますが、原価の売価のバランス的にはちょうどいい感じでしょうか。ただし「高反発マットレス」として満足いく性能とは言えないです。

エイプマンパッド H3 シングル

サイズ:約幅97×長さ195×厚さ10cm
重量:7kg
側地:ポリエステル100%
製造国:中国
売価:¥15,800(税込)

エイプマンパッドの芯材の密度は30Dと記載ありますのが一応計算してみます。
側地の重量が0.8kgだとしてウレタン自体は3kgと推定します。

密度計算式
6.2kg÷(0.97*1.95*0.1m)=32.8D

1.ウレタン 密度30D 厚み10cm ¥4,000/枚
2.側地 ¥1,000/枚
3.ファスナー ¥320/枚
4.包装ビニール、箱 ¥160/枚
5.工賃 ¥160/枚
6.輸送費、関税など ¥1,477/枚
7.国内輸送、保管料など ¥1,000/枚

合計 ¥8,117(税込)
原価率 ¥8,117÷¥15,800=51%

原価率的にすごく頑張ってると思われます。エイプマンパッドは非常に良い商品だと思いますが広告費などに資金を投入できなさそうなので、「知る人ぞ知る」感じになりそう。マニフレックスを同じように中国で作ってもエイプマンパッドと材料自体に価格差はほとんどないでしょう。人件費、輸送費の面で差がつきます。

エイプマンパッド公式サイト

マニフレックス メッシュウィング シングル

サイズ:約幅97×長さ198×厚さ11cm
重量:7kg
側地:サーキュレーションメッシュ ポリエステル100%
製造国:イタリア
売価:¥33,858(税込)

マニフレックスの芯材エリオセルの密度の表記は31kg/m3とありますが一応計算します。
側地の重量が0.8kgだとしてウレタン自体は6.2kgと推定します。

密度計算式
6.2kg÷(0.97*1.98*0.11m)=29.38D

1.ウレタン 密度30D 厚み11cm ¥4,400/枚
2.側地 ¥1,280/枚
3.ファスナー ¥640/枚
4.包装ビニール、箱 ¥400/枚
5.工賃 ¥750/枚
6.輸送費、関税など ¥2,000/枚
7.国内輸送、保管料など ¥1,500/枚

※イタリアの人件費、輸送費が高いと思われるのでこのくらいに設定(関税¥456/枚)。ファスナーも長いものが必要

合計 ¥10,970(税込)
原価率 ¥10,970÷¥33,858=32%

マニフレックスは多数のアスリートをアドバイザーとして抱えてるので、広告費の割合が高そう。「高反発マットレス」としての性能は十分だと思います。

マニフレックス公式サイト

オルサエリオセル シングル

サイズ:約幅97×長さ197×厚さ10cm
重量:5.5kg
側地:ポリエステル100%
製造国:イタリア
売価:¥12,800(税込)

オルサエリオセルの芯材の密度は25Dと記載ありますが一応計算してみます。
側地の重量が0.8kgだとしてウレタン自体は4.8kgと推定します。

密度計算式
4.8kg÷(0.97*1.97*0.1m)=25D

1.ウレタン 密度25D 厚み10cm ¥2,500/枚
2.側地 ¥1,000/枚
3.ファスナー ¥640/枚
4.包装ビニール、箱 ¥200/枚
5.工賃 ¥500/枚
6.輸送費、関税など ¥2,000/枚
7.国内輸送、保管料など ¥1,000/枚

合計 ¥7,840(税込)
原価率 ¥7,840÷¥12,800=61%

マニフレックスとエイプマンパッドの間くらいの価格帯。人件費の高さと輸送費の高さを密度25Dで調整してる感じですね。

モットン 厚み10cmシングル

サイズ:約幅97×長さ195×厚さ10cm
重量:7.5kg
側地:ポリエステル100%
製造国:中国
売価:¥39,800(税込)

モットンの芯材の密度の表記は31kg/m3とありますが一応計算します。
側地の重量が0.8kgだとしてウレタン自体は6.7kgと推定します。

密度計算式
6.7kg÷(0.97*1.95*0.1m)=35.4D

1.ウレタン 密度30D 厚み10cm ¥4,400/枚
2.側地 ¥500/枚
3.ファスナー ¥320/枚
4.包装ビニール、箱 ¥100/枚
5.工賃 ¥160/枚
6.輸送費、関税など ¥500/枚
7.国内輸送、保管料など ¥1,000/枚

合計 ¥6,980(税込)
原価率 ¥6,980÷¥39,800=17.5%

ウレタンは密度30Dはありそうだけど、総合的に見てボッタだなと感じます。

ラクーネ 厚み8cmシングル

サイズ:約幅91×長さ200×厚さ8cm
重量:3.1kg
側地:不明
製造国:不明
売価:¥37,980(税込)

側地の重量が0.8kgだとしてウレタン自体は2.3kgと推定します。

密度計算式
2.3kg÷(0.91*2.0*0.08m)=15.7D

たぶん中国で作ってるだろうと想定します。

1.ウレタン 密度15.7D 厚み8cm ¥700/枚
2.側地 ¥500/枚
3.ファスナー ¥320/枚
4.包装ビニール、箱 ¥100/枚
5.工賃 ¥160/枚
6.輸送費、関税など ¥500/枚
7.国内輸送、保管料など ¥1,000/枚

合計 ¥3,280(税込)
原価率 ¥3,280÷¥37,980=8.6%

キングオブボッタです。恐らくこの会社、密度の計算とか分かってないです。

最後に

ボッタくられるのが大嫌いなのでこんなに調べてますが、「高反発マットレス」で大事なのは密度と厚さだということが分かると思います。密度は商品重量と容積から大体憶測がつくので、密度表記、重量とサイズの記載がない商品や、密度表記されてるけど重量とサイズから計算してみるとズレてる商品は僕なら買いません。

高反発マットレスの原価